こういう寒い時期になると思い出すのが、仙台に転居して初めての冬を迎える直前に受けた「
冬道運転講習」である。
自動車運転教習所が企画して、法人向けに行う。
その中で、今でもはっきり覚えているのが、「
スキッドカー」という特殊な教習車での実地運転である。
場所は広い公園のアスファルト道路である。
雪もなく、水も張ってはいない。
指導員の指示で、車を走らせ(30~40km/時)急ブレーキをかけた。
途端に車は
スピンし、何が何だかわからなくなってしまった。
まさにパニックである。
スキッドカーというのは、普通の4輪乗用車で、各車輪それぞれに補助輪が付加されている。
補助輪は油圧機構で上下する。
補助輪を下げると、主タイヤが少し持ち上げられるため、接地圧が下がる。
タイヤの一方だけこういう状態で走行し、急ブレーキをかけると、持ち上がった側のタイヤのブレーキが効きにくいため、車体はスピンするというカラクリを、後で学んだ。
素人にとっては、万が一車がスピンを始めたら、手の打ちようがないという恐怖感を、体験させるためのカリキュラムであった。
要はスピンを起こすような運転は決してするなという教えである。
何段階のカリキュラムを受けたが、結論は、
急発進、急停車、急ハンドルを避けよ、
そして何よりもスピードを抑えること、
ただそれだけである。
最近の車には、
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、
VSC(横滑り防止装置)、
TRC(トラクションコントロールシステム)
など高度の技術が導入されてきており、安全運転をサポートしてくれているが、
決して過信するわけには行かない。
かって経験したスピン時の恐怖は、いつまでも忘れないようにして、安全運転に努めているつもりである。