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ようやく退院、帰ってこれてよかったね>
退院前に医師から手術の内容の説明があったが、意外な事実を知らされた。
下記は当初説明を受けた手術内容である。
左図の大動脈瘤(青染部)を青線①②③でカットし、そこを右図のように逆Y字型の人工血管(赤染部)に置換するという説明であった。
今回、妻の手術はおへその付近を縦に20cm程度開腹して行われたが、ほかに「ステントグラフト法」という手術の方法がある。
これは、脚部付け根部動脈からカテーテルで「ステントグラフト」(人工血管にステントといわれるバネ状の金属を取り付けた新型の人工血管)を挿入し、患部(大動脈瘤)の内側に固定することで、弱くなった血管壁を内側から補強し、動脈瘤が破裂するのを防ぐ手法である。
ステントグラフトによる治療では、開腹という大掛かりな手術をする必要がなく,患者の身体にかかる負担は極めて少なくなり、近年数多く適用されるようになってきているそうである。
合併症のリスクも非常に低く、手術後数日で退院できるという。
今回このステントグラフト法を採用できなかったのには理由があった。
実は妻の大動脈は両脚に分かれたところで、ループ状に湾曲(珍しい例と言われた)していることがわかった。
このため、ステントグラフトをカテーテルで脚付け根から挿入するのが非常に難しく、無理して挿入すると、
血管を傷つけるなどの危険があることから、今回は見送ったいきさつがある。
手術前と手術後の造影剤画像である。
右が手術前、左が手術後。
手術のやり方で、驚かされたことがある。
上の画像では、はっきり分からないが、人工血管の下端は、湾曲部を飛び越え、その下動脈の途中に縫合したという。
そうした理由は、いままでカテーテルの挿入が困難とされていた動脈の湾曲部がバイパスされたことになり、
将来何らかの血管手術が必要になった場合は、カテーテルの挿入がやりやすくなるということである。
なるほど!
思わず拍手したくなる気持ちを抑えるに必死であった。
当初の説明では、そういう話はなかったということは、手術の過程において、執刀医のアイディアでこういう工夫がなされたのであろう。
手術というのは、開腹してからその場の状況で、臨機応変に方針を変更することが多々あるだろう。
そういう時こそ医者の手腕が問われるだろうし、今回がひとつの事例だったのかもしれない。
ステントグラフトが利用できるようになったことに感心したとは言え、そういう手術がまた必要になることだけは絶対ないように、ただ祈るだけである。
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